デザイナーのスキルについて考えることが多いのですが、最近はスキルのつけ方・磨き方も多種多様です。
若いのにすごく向上心がある人や、コロナ禍で営業活動ができない、仕事が少ない間に資格の勉強をする人などもいて、自分もまだまだだなぁといい影響を受けています。
デザイナーたるや、みたいな話をよくしがちですが、どういうカテゴリーの人の話をしているのかわからなくなりがちなので、大まかなタイプによって3種に分けました。
在来種、雑種、外来種です。
簡単に言うと
- 在来種=デザイン業務のみ
- 雑種=デザイン+ディレクションなど複数業務
- 外来種=特に何もできないがデザイナーを名乗る
です。
上座に居座る困った在来種について書いた記事はこちら
そして最近増えてきているのが侵略的外来種です。
クラウドソーシングサイトが登録や肩書き、受発注、評価までもう、何から何まで親切に、敷居を下げて下げて下げまくってくれたおかげでしょうか。
デザインとアートの違いもわからないのに「できます」「やります」で価格も信頼も崩壊させる輩が増殖している模様です。
手軽で簡単なプラットフォームとして、
「未経験者や駆け出しのデザイナーが経験を積む場所」
と公言されていればさることながら、プロさえもこの波にのまれていることが問題です。
あまりにもみんながプロを名乗るもんだから、「プロでもこれくらいの予算でやってくれるんだ」という認識を持たれることが問題なのです。
美容専門学校が運営する美容室なんてのがあるように、
- カット500円ですが2時間がかかります
- パッツンなら大得意。
- 最低限の仕上がりはトレーナーが保証します。
- 学生の研修中につき諸々の不手際ご容赦ください!!
これくらいはっきりしてくれれば選択肢としてはいいと思うのですが。
- ご自由にご指名ください!
- ド素人からプロまで勢ぞろい!
- 自分で見極めて、品質は自己責任で!
- トラブルは自分で解決してね!
と言われたら、ぶっ飛ばしたくなりますよね。
残念ながら、これが現状のクラウドソーシングサイトです。
こんな状態なのに、外来種に仕事がどんどん流れているし、なんなら
「制作データよこせ。修正は他の安くやってくれる人に頼むから。」
くらいまで言われちゃってる今日この頃。
なぜこんなに増殖してしまったのか、理由を探るためクラウドソーシングサイトに登録してみました。
デザイナー登録者数は、比較のみになりますが、
- 翻訳者・通訳者の約5倍
- ビジネスコンサルタントの約7倍
- システムエンジニアの約10倍
という結果になりました。
ちなみにライターはデザイナーの3倍程いらっしゃいました。
この嫌煙の時代にたくさんいるもんですね。
A4サイズ、片面のデザイン費は通常で2,000~5,000円、コンペで2~3万円くらいでした。
通常価格だと、サイト外の相場の4~5分の1くらいでしょうかね。
リスクは高くとも、8割引となればそりゃみなさん揃ってそちらに移行するのも納得です。
コンペだと数十作品から当選は基本1人です。
提案内容は誰でも見られるのでアイデアはパクられるし、ロゴのコンペで「名称〇〇です。和食レストランです」くらいの情報しかないのに数打ちゃ当たる的にご提案差し上げるなんて時間の無駄です。
恐れ入りますが、ごきげんよう。
まず日本語が通じているのかいないのかわからないレベルの人がかなりの割合でいます。
ファーストコンタクトが
「チラシ変更したいです。金額といつできるか教えてください。」
え?
それだけ?
誰ですか?
「変更」って何?
アカウント名、aegoojgh365って何?(実際のアカウント名ではありません)
いつできるかって?
いつまでもできませんよ。
丁寧にお断りを入れ、ごきげんよう。
というわけで、早々に退散するという結果になってしまいました。
敷居は確かに低く、
デザイナーでなくてもデザイナーを名乗れる
デザイナーでなくてもデザイナーとして扱われる
デザイナーでなくてもデザインの仕事を請けられる
そんな環境が間違いなくありました。
誰でも名乗れるからといって
「デザイナー」を選ぶ理由は、わかりません。。
おそらくですが、「字面」と「夢が持てそうな雰囲気」かな。
外来種の増加は、クラウドソーシングサイトという「無法地帯の動物園」のような場所が温床となっていました。
飼育員(運営)や来園者(クライアント)がどんどん餌付けし、外来種はどこからともなくやってきて増殖していました。
そのうち見る価値もないと誰も訪れなくなる日がやってくるでしょう。
その時生き残るには?
外来種が絶滅へと追い込まれるような環境の変化を待つ?
野生の住処を増やす?
ホワイトタイガーみたいにレアな付加価値をつけておく?
ペットとして飼いやすく変異してみる?
方法は自分次第。